放射線治療と免疫力について
母がはなまるマーケットを見るのが好きで、僕もたまに見ていました。
ニュースを見ている中で、「放射線治療による免疫力低下で肺炎が悪化した」という主旨の報道をしているメディアがありました。
その影響で免疫力が低下し、コロナの重症化につながったのでは?という意見でした。
今回は放射線治療と免疫力について解説します。
放射線治療と免疫力
今回の「免疫力の低下」が白血球の低下を指すものとします。
結論から言うと、「早期乳癌の術後放射線治療」で免疫力の低下が問題になることはありません。
たしかに、放射線による副作用には、照射後数週間以内に出現する早期障害の一つに赤血球・白血球・血小板の減少があります。
これらの血液成分は脊椎や骨盤などの骨髄で作られています。
そのため、脊椎や骨盤に放射線を当てた場合、骨髄の機能が低下(骨髄抑制といいます)し、赤血球・白血球・血小板の数が減少することがあります。
したがって、放射線治療による免疫力低下は起こらないと考えた方がよいです。
放射線肺炎について
まず、放射線肺炎についてまとめます。
・肺癌や乳癌などに対する放射線治療によって肺に炎症をきたした状態。
・放射線照射後2~6か月後に起こることが多い。
・症状は、発熱、咳、呼吸困難など。無症状のことも多い。
胸部エックス線や胸部CTの画像で、放射線を当てた部分に一致した陰影がみられることで診断されます。
まとめ
放射線治療と免疫力についてお話ししました。
放射線治療の中には骨髄抑制によって一時的に免疫力が低下するものもあります。
また、逆に免疫抑制の効果を期待して放射線治療を行う場合(例:移植前治療)もあります。